最も多い40代の合格者
社会保険労務士の合格者の中で最も多い年代は40代です。
このことから新規で独立開業する方の多くも40代であると言えるでしょう。
この記事では、40代で社会保険労務士の資格を取ってからの活かし方を考えてみます。
未経験での正社員転職は難しい
一般的に未経験での正社員の求人は「長期勤続によるキャリア形成を図る観点から」という理由により39歳を境に大きく減少します。
したがって人事・労務経験がないのであれば、企業の人事総務部門や社会保険労務士事務所への転職はかなり難しいものとなります。
その一方で、企業の人事労務部門の勤務経験者であれば、社会保険労務士の資格はご自身の転職市場での価値を上げることに直結します。
ブラック企業、セクハラ・パワハラ、ストレスチェックなど昨今の労務管理は複雑さを増しています。
また、労働関係法令の改正も頻繁に行われているため、人事労務関部門でも高度な専門知識を持った人材のニーズは年々高まってきています。
なお、社会保険労務士には企業に勤めながらでも社会保険労務士としての登録ができる「勤務登録」という制度があります。
勤務登録をすると、社会保険労務士会の研修や勉強会に参加することもでき、開業社会保険労務士との交流も持てます。
社外の専門家から、生の情報を学ぶことで社会保険労務士としてのスキルアップにつながります。
このような経験は、他社の人事労務部門等へ転職を目指す際に大きな武器となるでしょう。
40代で独立開業するメリット
40代ともなれば自分がこれまでやってきた仕事についての業界知識はかなりあるでしょう。
したがって、今までの経験を活かして「○○業界に強い社労士」など、特定業界へ特化した差別化が考えられるでしょう。
またそれとは別に、助成金、就業規則、助成金、メンタルヘルス、障害年金など自分の得意業務を打ち出す戦略も考えられます。
さらにはこれまでの経験+社会保険労務士業務という組み合わせで独自性を打ち出すこともできるでしょう。
例えば、経理や財務の知識があるのであれば、「財務戦略のアドバイスもできる社会保険労務士」、IT業界の経験が長ければ「情報セキュリティに強い社会保険労務士」などどいった差別化です。
特に開業当初はターゲットや業界を絞ることで、業務に必要知識もその周辺に限られますし、特定業務の経験を数多く積むことで、短い期間でノウハウの習得も可能となります。
40代で独立開業するデメリット
その一方で40代になると会社での地位も上がってきていることも多く、自信過剰に陥ったり、いわゆる上から目線になりがちだったりというケースもよくあります。
会社員と仕事を行うことと、自分自身が事業主となって仕事を行っていくことには根本的な違いがあります。
いかに会社員時代に実績を残してきたとしても、事業主としては一年生からのスタートですから、謙虚な気持ちを忘れないようにしたいものです。
また、ある程度の人脈もあるのであれば前職で築いた人脈をあてにして仕事を取ることも考えるかと思いますが、実際にはこの方法もうまくいくことは少ないでしょう。
前職時の人脈はあくまでも会社の看板込みで築いたものであり、個人として仕事を取れるかどうかは別の話です。
よしんば開業祝いのような形で仕事を受注できたとしても長続きはせず、最終的には前職の人脈に頼らない営業活動をせざるを得なくなるでしょう。
40代からの社会保険労務士資格の活かし方まとめ
40代からの社会保険労務士での開業はメリットもデメリットもありますが、十分な社会人経験を積んだ上で、まだまだ体力のある40代は独立開業するには最も適した年代のひとつと言えるでしょう。
誰しも独立開業するとなれば不安がいっぱいです。
とはいえ、社会保険労務士での開業は他の業態と比較して、開業資金やランニングコストがあまりかからずリスクの低い独立方法であることは間違いありません。
せっかく取った社会保険労務士資格ですから勤務派の方も、一度は独立も検討してみてはいかがでしょうか。